さよなら、テレシネ

映画フィルムの映像をビデオ信号に変換する機械「テレシネ」。1980年代から近年まで映画フィルムの映像化の分野で活躍してきました。その中でもシンテル製テレシネは優れた画質クオリティと、フィルムらしい質感が得られるとの高い評価から世界中のプロの現場で使用されていました。

弊社も1986年にテレシネ業務を開始以来、歴代のシンテル製テレシネを導入してきました。周辺機器を合わせると1台1億円、モデルによっては約3億円もするたいへん高価な機械です。

現在、映画フィルムの映像化はビデオテープに記録することからデジタルデータ変換へと変遷し、フィルムスキャナーが主流となりテレシネは一時代前のものとなりました。最盛期には日本国内で10台以上稼働していたシンテル製テレシネも今では2台のみとなっています。その内の1台が弊社にあるURSA Gold(アーサゴールド)です。

このURSA Goldは1995年に導入、それから25年に亘りたくさんの映画フィルムを映像化してきました。残念なことに、先日、不運な要因が重なり故障、修理不可となってしまったのです。

これにより弊社の34年続いたテレシネ業務は終了となりました。今後はフィルムスキャナーによるデジタル化へと完全にシフトすることとなりました。

これからのデジタル化時代においても、これまでテレシネ業務で培った技術や知識、多くの経験が生かされてゆくことでしょう。

視聴覚資料アーカイブ講座 緊急番外編

「さよなら、テレシネ」への1件のフィードバック

  1. また1つ,重要な技術遺産が停止してしまったのですね.ハイエンドで1億円もする装置だったのですね.蒸気機関車などは動態保存もされますが,こちらは困難でありそうです.映画の秒間24コマを(アナログ)TVの約30コマに変換する必要性すら一般の視聴者には知られていなかったと思いますが,まずは「お疲れさま」でした.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です