超劣化フィルムの作業方法

公式ホームページのリニューアルに伴い、個人のお客様からのご依頼を受け付けしやすくなりました。古いフィルムを数十年振りに見てみると、経年劣化が進み、映写機にかけられない状態になっているものもあるでしょう。

東京光音では、劣化が進行しているフィルムでもデジタル化作業を行う事が可能です。ただし、フィルムの変形・貼り付き・カビの発生などは特殊な作業を施す必要があるため、追加料金が発生する場合がありますので、ご注意ください。

特殊な作業を施しても、デジタル化できない状態のフィルムも存在します。

このような状態になってしまうと、機械にかけて収録を行う事が出来ません。

  • ほぐそうとするとボロボロに崩れてしまう
  • パリパリに乾燥していてフィルムベースの強度がない
  • ロール状に巻かれた状態で固まっている

ここまで劣化が進行してしまうと、記録された映像が失われる一歩手前です。弊社では、このような状態のフィルムでも記録された映像を救出できる可能性があります。

超劣化状態のフィルムを、崩れないように慎重にほぐし、平面化、補強を施し、記録された画を1コマ1コマ手作業で撮影し画像データにします。

この画像データを連番ファイルにして、動画として視聴できるようにするのです。通常のデジタル化作業同様、色調補正も行います。このような工程を経て、失われる一歩手前の映像を残すことが出来ます。

このような状態になる前に、大切な映像のデジタル化を行い遺して行きましょう。

KO-ONくんの技術スタッフインタビュー~第1回~

こんにちは!

今回は、東京光音でフィルムやテープのダビング、修復作業をしている技術スタッフにお話しを聞いてみたので紹介するよ!記念すべき第1回目は、映像ダビング担当のスタッフのお話をお届けするよ。よろしくね!

普段、どんなお仕事をしているの?

主に磁気テープをクリーニングしたり、テープの映像をダビングしたりする作業をしています。

いつもたくさんの磁気テープに囲まれているけど、1年で何本のテープを分解しているの?

切断補修のための分解も含めると、年間100本ぐらいは分解しています。最近は新型コロナウィルスの影響か分からないけれど、テープの切断補修作業が増えてます。

1年で100本も!ダビング作業で一番大変だった作業は何ですか?

いちばんを選ぶのは難しいですね・・・。テープによって汚れ方とか状態が変わってくるので、どの作業も大変です。

フィルムと同じで種類や状態によって変わってくるんだね・・・。作業をする上で大切にしていることはありますか?

やっぱりクリーニング作業の質ですね。映像の仕上りは、クリーニング作業で変わってきます。だから状態によっては1本、1本手作業でキレイにしています。

そういえば僕もこないだ手作業でキレイにしているのを見かけたよ!泥だらけの磁気テープが手拭きでどんどんキレイになっててすごかったな!今後の目標は何かありますか?

クリーニング作業がもう少し効率的にできるように、今はいろいろと試行錯誤しています。どうしても手作業だと時間がかかってしまうので、可能なところから少しずつ機械の手も借りていけたらと考えています。

VHSテープって意外と長さがあるから、手作業で拭いていくのは大変だよね・・・。東京光音の「ここがすごい!」というところはありますか?

記録メディアに対する『真面目さ』『やさしさ』だと思います。普通は諦めてしまうような状態の記録メディアも、試行錯誤して何とか修復・復元しようとする、諦めない姿勢みたいなものが全社的にあると思います。

ホームページにも「あきらめない志」って書いてあるけどやっぱりそうなんだね!東京光音はどんな会社だと思いますか?

記録メディアに関する技術も、復元に取り組む姿勢についても、ある意味、変態だと思います(笑)。

変態・・・(笑)今日は貴重なお話ありがとうございました!

民生用から業務用テープまで幅広くダビング作業をしているけれど、どのテープも最初の「クリーニング作業」がとっても大事なんだね!

次回は音声ダビング作業の担当スタッフにお話しを聞いてみるよ!お楽しみに!

実は大事な、テープクリーニング

今回は磁気テープのクリーニングについてお話するよ!

磁気テープといえば、VHSやベータ、カセットテープなどが代表的だよね。お客さまからお預かりした磁気テープをそのまま再生機にかけるだけ!ではなくて、実は東京光音ではデジタル化をする前に、テープの”クリーニング”をしているのは知ってた?

年代的にも古~いテープを取り扱うことが多い東京光音ではデジタル化作業前のクリーニングにとっても力を入れているんだ!

カビや結晶などの目で見てすぐにわかる汚れだけじゃなくて一見キレイに見えるテープでも、目に見えない汚れがたくさん!!

テープのクリーニングをしないまま再生デッキに入れると・・・

こんな風にテープの汚れや貼りつきが原因で、再生デッキの中で切れちゃう!なんてことも実は古いテープでは結構あるあるなんだ・・・。

それに、テープの汚れはデジタル化した時の映像にもかなり影響するよ!

原因を簡単に説明すると、こんな感じ・・・

再生デッキにテープを入れる → 再生 → ヘッドに汚れが溜まる → ノイズの発生

あまり派手な作業ではないけれど、クリーニングってとっても大事な作業なんだよね~。

ビネガーシンドローム

今日は僕たちフィルムを襲う恐ろしい病、ビネガーシンドロームについて紹介するよ!

「ビネガー」というワードからわかる通り、酢酸臭がこの病気のサイン

フィルムは主に骨格となる「ベース」と画が残される「エマルジョン」の2つからできているんだけど、一般に普及しているフィルムの中にはベースにアセテートという物質が含まれているものがあるんだ。このアセテートが熱や湿気によって化学変化を起こし、酢酸を発生させてしまう!

このビネガーシンドロームが起きるとフィルムが歪んだり、縮んだり、溶けてしまったり・・・(あぁ恐ろしい!)

どこからともなく漂う酢酸臭をたどると、長く眠っていたフィルムが見つかるかも!そのままにしておくと、どんどん進行してしまうだけでなく、他のフィルムにも伝染してしまうので早めに他のフィルムとは別の場所に移してね。

僕たちフィルムは高温多湿が大の苦手。

低温、そして風通しの良いところに保管するといいよ。缶や箱に保管されている場合は時々あけて換気をしたり様子を確認してみてね。

ビネガーシンドロームは一度発症すると止めることができないんだ。もし酸っぱい臭いのするフィルムを見つけたら、できるだけ早くデジタル化することをおススメするよ!

令和2年7月豪雨に伴う視聴覚資料救済窓口開設について

この度の豪雨災害、河川氾濫について亡くなられた方々へのご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に対してお見舞い申し上げます。

弊社では、映像を専門に扱う私たちにできるボランティア活動として、水損した映像・音声資料のクリーニングを無償で行っております。

この活動は、2011年3月に発生した東日本大震災より、NPO法人 映画保存協会と共に行っており、同震災の際は罹災した視聴覚資料850本以上の救済を行いました。皆様の思い出の映像を失わないためにもご協力させて頂ければと思います。

以前の実績例はこちらをご覧ください。http://www.koon.co.jp/suison.html

 

 

お問い合わせ先

株式会社 東京光音

  • Email: info@koon.co.jp
  • 電話: 03-5354-6510
  • 住所: 〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1 小田急西新宿ビル1F

こちらも合わせてご覧ください >> 映画保存協会・災害対策本部HP

1/2インチオープンリールビデオ

今日は1960年代に家庭用VTRとして製造されていた 1/2インチオープンリールビデオについてレポートするよ!

1970年代から家庭用VTRとして広く普及したのは、カセット型のベータマックス(1975年~2002年)・VHS(1976年~2016年)だけど、それ以前はオープンリール型のビデオテープが使われていたんだ。テープ幅はカセット型と同じ 1/2インチだよ。

1/2オープンリールテープ

当初は各メーカー独自の規格(シバデン方式やビクター方式など)で作られていたんだけど、1969年に規格が統一されたんだよ(統一Ⅰ型)。

1/2オープンリールテープは1960年代~70年代にかけて家庭用として製造された映像記録媒体として貴重なんだけど、もっと貴重なのが再生機!特に、統一Ⅰ型以前のテープは専用の再生機が必要になるんだ!!

ビクター
シバデン
ソニー

それと、テープも古いのでとっても汚れているんだ。まともに映像が出ないものもたくさんあるよ。だから、テープクリーニングがとっても重要なんだよ。

古い機械なので時々不機嫌になるけど、なんとかご機嫌取りをしながら使ってマス。

大量8mmフィルムの動画化(後編)

個人様からのご依頼で約200本の8mmフィルムをデジタル化させていただきました。

映像内容は、世界各国で撮影された記録ムービーでした。
撮影者の方はお仕事の関係で各国を回られていたようです。


“自粛期間中の作業と言う事もあり、この時期は家と仕事場のみの往復でした。
どこかへ行けるわけでもなく、悶々としている中での作業でしたが、8mmフィルムの映像にはヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアと50年前の世界各国の映像が映し出され少し世界旅行をしている気分になれました。”

カラコレ担当者 談

映像とは無関係の作業担当者であっても50年前の映像から、楽しめたり、気持ちが高揚したり出来るんですね。
ホームムービーには撮影者の気持ちが色濃く記録されているんだなと、今回の8mmフィルムで改めて感じることができました。

ハードディスクは何年もつ?

デジタルデータの格納メディアはいくつかありますが、現状最も多く使われているのがハードディスク(HDD)です。

HDDの種類とメリット・デメリットを簡単にご紹介します。

据え置き型HDD
メリット
  • 価格は比較的安価
  • 大容量の規格がある
  • LAID対応など保存に適した規格がある
デメリット
  • 別電源が必要
  • サイズが大きく、重い
  • 頻繁な持ち運びに少し難がある
ポータブルHDD
メリット
  • 別電源が不要
  • 小さいため置き場に困らない
  • 軽く持ち運びに便利(耐衝撃規格がある)
デメリット
  • 大容量のものが少ない
  • 価格は比較的高め

一般的にHDDの寿命は可動部品があることから比較的短く、およそ4年程度と言われています。ただ、HDDの種類、動作環境に大きく左右されます。HDDは熱に弱く結露もNGなので適切な温度・湿度も場所での保管が必要です。

また、故障によるデータ損失など万が一に備えて予備HDDなどのメディアへのバックアップを必ずとっておきましょう。5年位を目処に新しいHDDへの書き換えを行うことをおすすめします。

※これはフィクションではありません。6月10日朝、発生したHDDトラブルにより2週間分の作業データが消失し、意気消沈する当社スタッフ。

KOONくんの社内レポート

所長が1日中パソコンで何やら動画に見入っている。仕事をしている風でもないな~

気になったのでちょっと覗いてみたよ。何を見ているのかなあと思ったらこれでした。

こちらは所長のお友達の眞喜屋さん、仲間さんを中心に活動をしている沖縄アーカイブ研究所さんの動画配信サイト。このサイトではアマチュアカメラマンが撮影した8ミリフィルムを中心に収集・デジタル化を行い、懐かしい日常の風景や歴史的な記録映像をたくさん公開しているんだ。今年5月から、以前シネマ沖縄さんが運営配信をしていた“東アジア映像館”を復活したんだって。東アジア映像館はプロが製作した沖縄の記録映画、啓発映画、文化映画を無償で公開していたサイトなんだよ。現在は1975年から2011年までに制作された作品群の中からの20作品が公開されているよ。

沖縄好きの方、沖縄の歴史や文化に興味がある方はぜひ覗いてみてね。

弊社所長おススメです。

http://okinawa-archives-labo.com/